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「すみません、藤島マネージャーが今どちらにいらっしゃるかご存知ないですか?」
同じグループの新入社員と思われる長身で細身の体型をした若い男性が近づいてきたから聞いてみた。
中性的な綺麗な顔立ちをした容姿端麗な男性。
フルリモートかつソロで仕事をしているとグループ内の人と関わりがないから大半の社員の名前を知らない。
「藤島は私です。初めまして、佐倉萌花さん」
新マネージャー御本人に居場所を訊ねてしまった。
藤島マネージャーがニコリと笑みを浮かべる。
シゴデキオーラを放ってきた。
「た、大変失礼しました。今日からお、お世話になります、佐倉萌花です」
クライアントとの商談では演じる事ができるが、直属の上司だと思うとテンパって上手く話せない。
「案件達成数トップの佐倉さん、こちらこそ宜しくお願いします」
右手を差し出され、握手する。
こんなカッコいい男性が上司だとキョドってしまってまともに話す事ができない。
「……では、失礼します」
居た堪れなく、藤島マネージャーに頭を下げ、グループスペースから逃げるように立ち去る。
上司がカッコいいのは勘弁して欲しい。
前マネージャーの狸の置物の方がまだやりやすかった。
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