俺だけの視界に入れたい  side 藤島翔琉

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俺だけの視界に入れたい  side 藤島翔琉

第3四半期から佐倉さんを俺のサポート業務に就かせ、半年が経過した。 新しい年度に入り、新たに6人の新入社員がグループに配属され、新たなスタートをきる。 「佐倉さんって、どんな方なんですか?」 佐倉さんはストレス性蕁麻疹が出て以降、1度も職場に顔を出していない。 朝のミーティングも株市場のチェックを優先にしアバターで出席、グループ内の報告等を全く聞いていない。 「藤島マネージャーのサポートでヒアリングに同席し仕様書も作成してるって、アバターのキャラみたいな女神様だな」 出社してないのに案件達成数第1位の佐倉さんは新入社員達から神扱いを受けている。 「人事部から決起会に参加するようビデオ通話がかかってきたので出社しました」 新年度の役員会議を終え、グループルームへ戻ると身なりを整えた佐倉さんが居た。 もうすぐ決起会が始まる時刻なのもあり、グループルームは無人。 ノートパソコンを置きに戻り、佐倉さんに会えてよかった。 最近、ヒアリングが無いからと、自宅でTシャツ短パンで仕事をしている佐倉さん。 春先のワンピースにカーディガンを羽織り、メイクを施した姿は神々しい。 「社長の挨拶は聞かないといけないから、そろそろ行こうか」 長く出社拒否をしていたから心細いのだろう。 俺を慕って頼ってくれる事が嬉しい。
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