俺だけの視界に入れたい  side 藤島翔琉

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「佐倉さん、お久しぶりです!!体の調子はもう大丈夫ですか!!」 決起会後の恒例の前年度のMVP功労者発表の儀。 当たり前だが佐倉さんが選ばれる。 「……可愛い。アバターに似てる。本当に女神様だ!!」 咲良さんに好意を抱いている男は多い。 社にいる恋人がいない独身男性は全員、佐倉さんに片想いをしているだろう。 「佐倉さん、打ち合わせしながら食事をしよう」 「はい」 決起会の後の立食パーティー。 仕事を理由に佐倉さんを別室に連れていく。 「確かに毎日出社して食堂で毎食ご飯を食べてたら、節約になるし幸せかも。ウーバーイーツしてくれないのかな」 食堂で社員同士が語り合いながら食事をとる事に意義があるとされてるから、お弁当や出前は提供していない。 料理を取りに佐倉さんとブッフェコーナーへ行くと視線を感じる。 「藤島マネージャーと佐倉さん、付き合ってるの?やっぱ親密な関係だったんだ」 一般職の女性社員がこそこそ話す声が聞こえた。 付き合ってはいない。 だが、そう勘違いされてありがたい。 「佐倉さん、サーモンのカルパッチョとローストビーフがありますよ」 「美味しそう。あ、サーモンのマリネもある」 「どうぞ」 装うのが苦手だから俺が皿に盛り付けた。 「ありがとうございます」 佐倉さんに悪い虫が寄りつかないよう牽制する。 できるならフルリモートで家の中に閉じ込めたい。 佐倉さんへの恋情がは日々昂まっていき、抑えきれなくなっていた。
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