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「そろそろ終わる頃か」
ドルモは時間を確認する。おそらくヴァーチェも落ちた頃だ。レスカだけは連れて行ってやろうかと思ったのだが、何度声をかけてもそっけない態度しかしない女に見切りをつけた。顔が良くて胸の大きい女など腐るほどいる、レスカにこだわる必要は無い。
「エンジェルからの通信です」
どうやら初任務は成功のようだ。八つのステーションに分断されていたエンジェルが一つに統合され戻ってきた。
「よし、指示コードを送れ」
マスターを認識させるための特殊コード、これを拒否する事はエンジェルにはできない。そう設計したはずなのだが。
「コ、コード拒否! こちらの通信すべて拒絶!」
「馬鹿な!?」
「エンジェルからのメッセージです!」
『私のマスターはお前ではない。他者の名前を間違えるようなチンパンジー以下のクソは不要だ。だからレスカに相手にされないんだよハゲ』
「な!?」
まるで自分のことを知っているかのようなその内容、そして何よりマスターが既に決まっているという事実。何が起きているのかさっぱりわからず混乱し、右往左往するブリッジ内。
「あれがアホどもの行動パターンだ、滑稽だろ」
『動揺から何もできない、秒で死ぬ王道パターンですね』
急に聞こえたのは忌々しい自分の部下だった男の声。ちょっとばかり顔が良くて成績が良いからといって、自分以上に部下から慕われていて。レスカからも思いを寄せられているあの……。
「さて、どうしてやろうかなぁ」
殺気立った声。作戦が失敗したのだ、とようやく理解が追いついた。それと同時にドルモ達のいるネオステーションに、そこら中が真っ赤になるほどのアラートが鳴り響く。
メインヴィジョンに、とてつもない数の戦闘機に囲まれている映像が映し出された。
「普通まとまるんじゃなくて分裂させる方法を教えるだろ、アホ」
無数の無人戦闘機たち。まるで一つの惑星軍を相手にしているかのようだ。
「降参するなら二秒待ってやる、クソ野郎」
それらの配備の形は、さながら小魚が大量に集まって大きな魚に見せるかのごとく。
巨大な天使に見えた。
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