第1章 0.01ミリメートルの防御壁※

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 目の前の男の恋人だか、結婚相手だか、番だかが登場して修羅場・泥沼なんて最低最悪な展開は避けたい。これ以上、めんどうごとには巻き込まれたくないから。  やっぱりアルファの男って、めんどくさいな。 「別にどうでもいいよ。どっちにしろ、あなたとはこれで終わり。もう二度と会うことはないから」  財布から千円札を六枚取り出してベッド脇のデスクにホテルの代金を満額で置く。 「は?」 「一回ヤッたんだから次はないってこと。ありがとうございました、感謝しております。それじゃあね」  ヤることはヤッた。さっさと家に帰ってゲームでもしよう。  あっ、明日から期間限定イベントだ。  スマホを手に取り、画面に目を落とす。   ――23:10。これなら周回してデイリーの報酬を獲得する余裕がある。  人気キャラのSSRカードは今季限定だっていうし、ガチャ引いとこ。明日は土曜日。みんな徹夜してレイド戦やるって言ってたから気合入れないと。  スマホをカバンの中にしまい、出入り口のドアに向かって歩く。 「ちょっと待ってよ!」
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