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保健室の先生:「今、念のため病院の方に連絡入れたから、『うちの生徒が行くかもしれません』って。相原さんのお母さんはなんて?」
俊:「あ、『ぜひ連れて行って欲しい』と言われました」
保健室の先生:「そう!よかった。じゃあ、私の方から相原さんの担任の先生に連絡しておくね……それにしても意外だなぁ。相原さんに友達いたなんて。王さんは何?おんなじ高校2年生なの?」
俊:「あ、はい。桐葉学園っていう高校いってて」
保健室の先生:「あれ? 桐葉学園高校?サッカー強いとこじゃない?」
俊:「あ、はい。知ってますか?」
保健室の先生:「うん! うちの子、小学生なんだけどサッカー好きなのよ。進学のこともあるから強豪校とかは知ってて。中高一貫のとこだよね? えーそうなんだー……じゃあ何? サッカー部なの?」
俊:「あ、一応、そっすね」
保健室の先生:「えー、すごいじゃん。相原さん、そんな友達いたんだ。なんかすごい安心」
俊:「安心?」
保健室の先生:「うん。相原さん、たまに保健室来るんだけどね。あんまり友達とかそういう話しないし、最近は本人も辛そうだったから。きっと委員会とか勉強とかで大変なんだろうけど……だから、こうやってわざわざ他校から友達がお見舞い来てくれるの見て「よかったー」って安心しちゃった」
俊:「委員会?」
保健室の先生:「そう。相原さん生徒会代議執行委員会の委員長なのよ。まぁ、簡単に言うと生徒会の実務をする委員会でね。生徒総会の仕事とか、学内便作ったりとか、そういうのやってとにかく忙しいの。生徒会は別にあるんだけど、うちは生徒の人数多いからそういう委員会があるのね」
俊:「なるほど…あの、勉強もやっぱり大変なんですか?」
保健室の先生:「大変よ!特にここの学校は進学してすぐ予備校に通う子が多いからね。かといってテストの成績が悪いと下のクラスに落とされちゃうの。相原さんもけっこうここの常連さんでね。前来た時は『辛いから薬も飲んでる』って言ってた。でも、さすがに倒れたのは初めてだったから、少しびっくりしちゃったなー」
俊:「く、薬? 真央斗、どっか具合悪いんですか?」
保健室の先生:「心がね。精神安定剤と睡眠薬をお医者さんから処方されてるって。学校では何事もないように振る舞ってるけど、みんなそれぞれ色々あるから…きっと精神的な部分がいっぱいいっぱいなのね。ただ相原さんみたい子はほかにもいるわ。ここの学校じゃめずらしくないわよ」
「………そうなんですか」俊にはまたそれ以外の言葉が出てこず、またそれ以上なんと言って良いのかさえわかなかった。ただどこかまるで異世界に入り込んだような気がした。
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