prologue

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「ごめん、一緒にはいられない」  そう告げた彼はボクのことを見ずにそう言った。  それは少しずつ広がった噂のせい。 『世界が終わるらしい』  はじめはみんな半信半疑だったその噂は次第に真実味を増し、様々な情報が盛り込まれて日に日に話が大きくなっていく。  はじめは遠いどこかの国に災害が起こる【かも】で始まった噂。  気がつけばその国が特定され、僕たちの国にも影響が出るんじゃないかと言われ始める。  そして特定されたはずの国はひとつふたつと増え、小さな災害が大きな災害となり、ひとつだった災害が複数となり、最後には【世界が終わる】なんて個人の力ではどうしようもないような大きな話になっていった。 「世界が終わるって」 「そんな訳ないって」  不安げな顔をしたボクにそう言った彼はそっとボクを抱きしめる。 「もしも世界が終わるなら、その時はそばにいてくれる?」 「当たり前だろ?」  そのまま唇を重ねたボクたちは「世界が終わるなんて、そんなはず無いのにね」ともう一度笑い合う。  信憑性のない噂。  根拠のない噂。
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