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途中で指が追加されたのはわかった。いま自分の中に何本入っているのかはわからない。
その動きも存在感も、まるで別の生き物のようで、人の指とは思えなかった。
奥で関節を曲げた指先が、自分でするときはぎりぎり届かない内側の膨らみを擦り上げる。それだけで、達してしまいそうなほどに気持ちがいい。甘く香る分泌液が後孔から溢れ、指の動きに合わせてぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる。
今すぐイケそうなのにイケないのは、空いているほうの左手で性器の根元を締め付けられている所為だった。先にイクと後ろに受け入れるのが辛くなるからだとか。
「イケそう」と「イケない」の間を射精感が行ったり来たりし、ひっきりなしに嬌声が洩れ、涙と唾液で枕を濡らす。
「み、まさ……。……もうヤダ……、早く挿れて…………」
涙ながらに訴えると、一気に指が引き抜かれる。
「あぁあっ！」
電流のような快感が背筋を走り、体がガクガクと痙攣する。でも、せき止められているから射精はできない。極限まで張り詰めた性器が痛み、行き場のない重怠い快感が骨盤を痺れさせる。
「イかなかったのは偉い」
根元を締め付けていた手を緩められ、ねぎらうように濡れそぼった性器を優しく撫でられる。
「偉い」って、あんたが締め付けてた所為じゃないか！
文句を言いたかったけど、息をするのがやっとだった。
「まだ始まってもいねーんだから。これしきでへばんじゃねーよ」
両側から腰骨を支え、崩れ落ちそうになっていた体を引っ張り上げられる。必然的に、両肘で体を支え尻だけを突き出した、伸びをする猫みたいな体勢になる。今まで以上に、彼の眼前に恥部をさらけ出す格好。
腰を引くことは許されず、濡れた尻の狭間に熱く硬いものが押し付けられる。
三間は僕の尻肉を鷲掴みし、自慰をするように狭間に剛直を擦りつけるだけで、すぐには挿入しようとしなかった。
アルファの雄――。そう思っただけで、窄まりの襞が期待にひくつき、中の粘膜が蠢くのがわかる。
「なん、で……」
挿れてくれないのか。
たまらなくなって、枕に突っ伏していた顔を振り向かせた。
「ほしい？」
目に欲情の色を宿しながらも、その口元は意地悪く笑っている。
僕は唇を引き結んだ情けない顔で、コクコクと頷いた。
「じゃあさ、下の名前で呼んで」
「晴……さん？」
初めてではなかった。
バラエティ番組や番宣でメディアの前に立つときは、仲の良さをアピールするためにそう呼んでいたから。
三間は首を横に振った。
「呼び捨てがいい」
薄い膜をまとった滑らかな先端を、窄まりに当てられる。円を描くようにぬるぬると表面を撫でられるだけで、それ以上は入って来ない。
呼び捨てで名前を呼ばないと挿れてくれないということか。
「は、る…………。はや、く…………きて…………」
涙ながらに懇願すると、三間が満足気に口角を上げた。
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