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「力抜いてて」
先端を窄まりにぐっと押しつけられ、縁をめいっぱい開かれる痛みを感じる。指とは比べ物にならない硬さと太さのものが、隘路を満たし、僕の体の中で少しずつその存在を増していく。
息ができなくて苦しい。息をするのも苦しい。
でも、ひっきりなしに涙が溢れてくるのは、きっと苦しいからだけじゃない。
その熱をずっと待ち侘びていたことを、オメガの体によって知らされる。
何度となく繰り返してきた一人で発情期を過ごす虚しさが、今初めて「満たされる」という悦びに変わる。
指で散々弄ばれた浅いところの膨らみを擦られたら、ひとたまりもなかった。
下腹部で行き場なくぐつぐつと煮え滾っていた熱液が、出口を求めて一気にせり上がってくる。
「あ、ばか! ちょっと待て!」
三間の焦った声を聞くのは初めてだった。
射精を堪えようと下腹に力を込めたら、余計に彼を締め付けてしまい、その反動が圧迫感として自分にも返ってくる。
これ以上は無理――……。
「……ッ……!……ンっ……、あ……、ぁぁあ……っ!」
性器をビクビクと震わせ、シーツに濃い白濁を放つ。
粘膜が激しく蠕動し、それに煽られてか、中のものがグンと更に反り上がる。
「……は、ぁッ……、ぁ……、あッ…………」
精を放ったはずなのに。普段のような射精後の虚無感は訪れない。かわりに快楽の波が、また次々に押し寄せてくる。ガクガクと小刻みに太股が震え、崩れ落ちそうになる体を、両側から腰を支えられてどうにかして体勢を保つ。
三間も、しばらくは何も言わず、何かを堪えるように動きも止めていた。
やがて、ペチ、と尻を軽く叩かれる。
「半分挿れただけでイクやつがあるか。初めて外で瘤が出るかと思ったぞ」
アルファは射精のときに根元が瘤のように膨らむと聞いたことがある。「瘤」とはそれのことだろう。
中の蠕動が少しだけ落ち着いたところで、僕は涙でぐしゃぐしゃの顔を振り向かせた。
「だって、三間さんのが……」
「晴、な」
「晴のが、大きすぎるから」
三間が、厄介なものでも見るように眉間に皺を寄せて、チッ、と舌打ちする。
「さすが小悪魔オメガだな」
揶揄されているのに、嫌な感じはしなかった。たぶん、今の彼が「素」なんじゃないかと思う。普段の、笑っているのに目だけが笑っていない表情のほうが苦手だ。
「ゆっくり進めるから。力抜けるか?」
再び枕に顔を突っ伏し、不貞腐れたように返事をする。
「がんばり……ます」
三間が笑ったらしく、ふはっ、と声がし、微かに結合が揺れた。
「頑張ったら駄目だろ」
また、ペチ、と尻たぶを軽く叩かれる。
それすらも嬉しいだなんて、僕ってもしかしてマゾッ気があるのだろうか。
両側から腰を掴まれ、中の熱芯がゆっくりと動く。一番太いところは既に呑み込んでいるからか、存外にスムーズだった。ただ、異物感は半端ない。
最後はズンと根元まで突き入れられ、ピストンで押し出されたように、鈴口から再び少量の体液が散った。
射精したばかりなのに。僕のそこは、既にゆるく頭をもたげている。
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