◇ milk ◇

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「たまたま入り込んじゃったけど、行って正解だったね」 「まさに、『隠れ家カフェ』って感じだよね〜」 隠れ家――…“カフェ”!? こんなところに…!? 『カフェ』と聞くだけで、勝手に体が反応する。 でもここは、わたしのマンションのすぐ裏手の通り。 たしかに先になにがあるのか見えないくらいの細い通りがあるなとは思っていたけど、だれかの家に続いているかもしれないから入ろうとは考えたこともなかった。 ――だけど。 この奥に…カフェが!? 女の人たちが出てきた狭い通りをのぞき込む。 先まで真っ暗。 でも、奥のほうにかすかな明かりが見える。 わたしはごくりとつばを飲むと、ゆっくりと足を踏み入れた。 京町家でよく見かける鰻の寝床のような造りの先へ先へと進んでみると――。
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