◇ milk ◇

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開けた場所にたどり着いた。 そこは中庭のようで、オレンジ色の外灯が1つぼんやりと灯っているだけ。 その向かいに、古民家があった。 近づいてみると、小さな看板に【 Gemini(ジェミニ)】と書かれてあった。 …本当にあった。 こんなところにカフェが。 窓の格子の隙間からは、温かいオレンジ色の明かりがもれている。 かすかにデミグラスソースのいい匂いもしている。 グゥ~… わたしのお腹が一層大きく鳴き始める。 …よし! 今日の夜ごはんはここにしよう! そう思って、お店の引き戸に手を伸ばすと――。 ちょうど引き戸が開いて、人の気配を察知したわたしはなぜかすぐそばの物陰に隠れた。 なぜ隠れてしまったのかは自分でもわからない。 中から出てきたのは、アイボリーのエプロンを着たマッシュヘアの男の人。
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