◇ milk ◇

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その男の人は、引き戸にかけていた【OPEN】と書かれたドアプレートをひっくり返して、【CLOSE】を表にした。 …あっ、閉店。 スマホの画面を見ると、【20:05】と表示されていた。 お店…20時までだったんだ。 せっかく見つけたいい感じの雰囲気漂う古民家カフェ。 ちょうどお腹も空いていて、楽しみだったのに…。 …仕方ない。 わたしはその場で肩を落とす。 そのとき――。 グゥゥゥゥゥウウウウ〜… とんでもない低い悲鳴がお腹から聞こえた。 おいしいごはんにありつけると思ったらお預けをくらって、どうやら限界だったようだ。 慌ててお腹を押さえるけれど、そんなことはお構いなしにお腹の虫は鳴き続ける。 だから、気づかれないはずがなかった。 「…あっ、えっと…。もしかして、お客さん…ですか?」
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