1 はじまり

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「何見てんの」 先程の社員が立ち去ると、こっちも見ずに問い掛けてくる。 「いえ、本当に社長なんだなと実感しまして」 そう言いながらPCのキーボードを叩く。 「へー、まだ無駄口叩いている暇あるんだ。随分余裕そうじゃん」 黒い笑顔をこちらに見せている。 怖い。 普通に怒られるよりも笑顔で言われる方が怖いのなんでだろう。 「モウシワケゴザイマセン」 そんなふうに謝って急いで業務を進める。 社長の秘書はやることが多い。 確かに無駄口なんて叩いている暇ない。
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