2 社長という人

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2 社長という人

仮入社して3ヶ月経った。 業務内容も覚えてきて、ようやく少しだけスムーズに仕事が進めれるようになったと思っていた。 「君さ、ここのミス多くない?何度言えばわかるの、こんなことでいつまで俺の手を煩わせるつもり?」 相も変わらず厳しい言葉で怒られていた。 「申し訳ございません、直ぐに修正いたします。」 「そうして、戻したらすぐに先方にお送りして。」 もうこの厳しい指導にも慣れてきていた。 幸い怒鳴られることはないし、私がちゃんとできた時は褒めてくれる。 それよりも私にはもう1つ片付けなければならない大事な用事があった。 そのため、改まって社長に声を掛ける。 「社長、1つ相談があります。」 「何」 「夏休みからこちらで働いていますので、1ヶ月ほど大学を休学しているのですが、そろそろ単位が危なくてですね、大学の卒業はしたいのです。4年だから単位が少ないとは言え、必修はまだ残っていますし論文もそろそろ進めたいです」 周りの状況はSNSで把握していて中々焦りが来ている。 まだここで雇ってもらえる保証もないし、大学はどんな事になっても卒業したい。 それが親のためな気もするし、中退は避けたい。 会社では今は一応形はアルバイト扱いになっているらしい。 「君大学生か、すっかり忘れてた。」 忘れてたとは…?忘れないでいただきたいところだった。
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