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「これは本人から何も聞いてないし、付き合い長いやつからの考えだと思って聞いてほしいんだけどさ」
副社長が穏やかな声で話し始める。
「夏希、翠ちゃんの仕事ぶりきちんと認めてると思うんだよね。素直に言えないだけで」
「え？」
「無理にスカウトしてきたでしょ。その少し後に、やる気も根性もあるし学ぶ気もあるからそのまま働かせたいって言ったんだよね。大学生を無理に連れて来るのどうなのって俺反対してたんだけど」
初めて聞く話に少し驚く。
そんな風な評価を受けているの知らなかった。
いつもの社長は、
「本当にやる気あんの？」
「こんなのも出来ないの？」
「本当何でこのおバカさんは予想外のやらかしばっかりしてくれるのかな」
笑顔で言う社長しか知らない。
でもその中でも時々優しい表情で「ありがとう」って言ってくれる社長や、ミスをして落ち込む私に缶コーヒーをくれたり優しいところがあるのは知ってる。
基本的に意地悪しかされないけど。
何が本当の社長なのかわからない。
何を信じて何が本音なのかきちんと理解したいのに。
私はこのまま本当に今の会社を諦めて良いのだろうか。
そう言えばどうしたいかってはっきり伝えたんだっけ。
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