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社長室のドアをノックすると中から「どうぞ」と声が聞こえて中に入る。
「失礼いたします。」
「君まだ帰ってなかったの。」
そう言いながらも相変わらずこっちは見てくれない。
この人も忙しいからゆっくり私に割く時間は無いと思う。
簡潔に話したい。
「私、大学は卒業するために学業に残り半年は集中したいです。」
「…そう」
私の声に一度手を止めて、こちらに顔を向ける。
まっすぐな目線が私に刺さる。
「でも、ここで就職したいので、きちんと面接させてください。そして4月から新入社員として働きたいです。社長の秘書として」
これが私の本音だ。
希望が通らなかったとしてもここで働きたいことには変わらない。
「…また無駄な時間とらせるつもり?」
ああ、もう採用されることはないんだ。
時間の無駄だと言われてしまった。
チャンスさえ貰えなかったのが悔しい。
「申し訳ございません…。」
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