2 社長という人

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社長室のドアをノックすると中から「どうぞ」と声が聞こえて中に入る。 「失礼いたします。」 「君まだ帰ってなかったの。」 そう言いながらも相変わらずこっちは見てくれない。 この人も忙しいからゆっくり私に割く時間は無いと思う。 簡潔に話したい。 「私、大学は卒業するために学業に残り半年は集中したいです。」 「…そう」 私の声に一度手を止めて、こちらに顔を向ける。 まっすぐな目線が私に刺さる。 「でも、ここで就職したいので、きちんと面接させてください。そして4月から新入社員として働きたいです。社長の秘書として」 これが私の本音だ。 希望が通らなかったとしてもここで働きたいことには変わらない。 「…また無駄な時間とらせるつもり?」 ああ、もう採用されることはないんだ。 時間の無駄だと言われてしまった。 チャンスさえ貰えなかったのが悔しい。 「申し訳ございません…。」
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