2 社長という人

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「面接なんてしないから、ここ3ヶ月君を近くで働かせて見てたのに。…まだ俺の手と足となって働きたいなら、今年度で絶対卒業しなよね。それ以上は待たないから」 椅子をくるっと回して私に背を向けながら話す。 今どんな表情しているのかわからないけど、待っててくれるって今遠回しに言ったよね? 「はい!古川 翠、必ず卒業します!」 「はいはい、良いから帰んなよ。しばらく来なくていいからね。」 そのしばらく来なくて良いの意味は鈍い私にもわかる。 「秘書、勝手に採らないでくださいね。」 「わかったから!うるさい!」 最後まで顔は見せてもらえなかったけど、受け止めてもらえたことが嬉しくて浮かれていた。 素直じゃないし言い回しはわかりにくいけど、この人についていきたい。 そんなふうに改めて思った日だった。
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