61人が本棚に入れています
本棚に追加
なんてことを少しでも考えた私を殴りたいと思った。
私は今全力で頬をつねられている。
この魔王、椎木社長に。
「俺を後回しにするとか、随分良いご身分じゃん?古川さん」
それもとてもいい笑顔で。
「す、すみまへん」
頬がヒリヒリする。
社長室にある私のデスクはあのときのまま形を残していた。
それが少し嬉しくて、頬の痛みが減る。
「ニヤニヤしてないでよね。もう大学生じゃないんだから、優しくなんてしないから」
「優しくされた記憶がないのですが?」
「余計なこと言うおバカさんな口はこのお口かな?」
二度目の頬をつねりを受けてしまった。
何も変わっていなくて安心すらする。
「夏希!翠ちゃん来た!?」
ドアがバンッと音を立てて開くので、肩がビクッと揺れた。
び、びっくりした。
心臓がドクンドクンと音を立てている。
最初のコメントを投稿しよう!