3 また春から

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「それ言ったら夏希も同じなのに、夏希は翠ちゃんっていう可愛い女の子が秘書でずるいよね。」 「私が多分色眼鏡掛けて社長を見てないからだと思います」 そう言ってお弁当箱にある卵焼きを口に運ぶ。 綺麗な顔しているとはもちろん思うけど、恋になることはないし、仕事に集中できないなんてこともない。 「確かきっかけ、職業説明会で翠ちゃんが夏希に話しかけたんだっけ?どうやったら入社できますかって」 「その話聞かれてたんですね、そうです」 あの日の講演の感動は未だ忘れていない。 その時のあこがれを今も胸に抱いたまま働けていて、これ以上に幸せなことあるんだろうか。 初めてやりたいことに全力で出来ていて楽しいと感じている。 「まさか秘書だなんて思わなかったでしょう?入ったら」 「最初こそは色々何故でしたが、今は秘書がやりたいことになっているので問題ありません」 副社長としばらく他愛のない話を交わしていた。 こんな下っ端と話してもらえるなんてありがたい。 「それじゃあ、先戻るからゆっくりね」 「はい、お疲れ様です」 挨拶を交わすと副社長は屋上を出ていった。 本当いい人だな。 忙しいのに私なんかと話してくれるなんて。
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