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「それ言ったら夏希も同じなのに、夏希は翠ちゃんっていう可愛い女の子が秘書でずるいよね。」
「私が多分色眼鏡掛けて社長を見てないからだと思います」
そう言ってお弁当箱にある卵焼きを口に運ぶ。
綺麗な顔しているとはもちろん思うけど、恋になることはないし、仕事に集中できないなんてこともない。
「確かきっかけ、職業説明会で翠ちゃんが夏希に話しかけたんだっけ?どうやったら入社できますかって」
「その話聞かれてたんですね、そうです」
あの日の講演の感動は未だ忘れていない。
その時のあこがれを今も胸に抱いたまま働けていて、これ以上に幸せなことあるんだろうか。
初めてやりたいことに全力で出来ていて楽しいと感じている。
「まさか秘書だなんて思わなかったでしょう?入ったら」
「最初こそは色々何故でしたが、今は秘書がやりたいことになっているので問題ありません」
副社長としばらく他愛のない話を交わしていた。
こんな下っ端と話してもらえるなんてありがたい。
「それじゃあ、先戻るからゆっくりね」
「はい、お疲れ様です」
挨拶を交わすと副社長は屋上を出ていった。
本当いい人だな。
忙しいのに私なんかと話してくれるなんて。
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