3 また春から

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「誕生日とか、結婚とか、お葬式とか」 「誕生日、結婚は100歩譲って、葬式を主役って言える君がちょっと怖いんだけど」 人生の主役なんてそんなもんだよな。 と冷静に考えて、目の前のお肉をよく噛み締める。 「てか君結婚願望とかあるの、そもそも」 「んー、恋愛はもうなんか良いかなって。仕事もやりがい感じてますし」 恋愛に関しては、今までいい思い出が無いから前向きにはならない。 それなりに恋愛はしていたほうだとは思うけど。 それにいい人には大体他に好きな人がいる。 これも経験談だ。 「へー、寂しい人生だね」 「30歳独身に言われたくないです」 そんな風に悪態を突き返すといつものように頬をつねられてしまった。 い、痛い。 頬が真っ赤になっている気がする。 いや、触れられてきゃっみたいな甘い展開ではなくて、物理的に。
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