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「へー、俺にはそう見えないんだけどね」
そう言いながら空の方に目をやる副社長。
それでしか無いし。
他にどんな理由が。
副社長の言葉に悶々としてしまう。
まるで私が社長のこと好きみたいな口ぶりじゃんか。
流石に恋か恋じゃないかくらいわかる。
恋なんかじゃない。
そんなことを考え込んでいると突然肩に柔らかい髪が触れて重みがかかる。
え…?
理解するまで時間がかかった。
「ごめん、寝不足だから少しだけこうさせて」
副社長が少し甘ったるい声でそんな事を言う。
寝不足…。なるほど。
特に気にすること無く肩を差し出した。
この人はそもそも遊び慣れているから、私のことなんて意識もしてないんだろう。
そう考えればこの行動も別になんとも思わなかった。
夏になって日陰といえど暑い。
それでもこの場所に来てしまうのは心地良い風が吹くから。
それに誰も来ないからすごく落ち着ける。
この昼休憩中副社長に肩を貸していた。
普通の男女ならドキドキするようなこの状況も変に冷静だった。
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