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 楽しいはずなのに少し苦手なお昼休み。  恋文(お守り)を詰めた巾着を抱き締める力が強くなる。  出会ったばかりの頃は、「中身をみたい」とせがまれていた。  けれど、今は、誰も気にしていない。多分……。  私は、話すのが苦手だった。私の話はつまらないと何度も言われてきた。  だから、基本は聞き役。  それでも、時々話を振られる。そうなると少し困ってしまう。  「こないだ告白してくれた人とも、付き合わないの」  先週の放課後、教室で告白してくれた人のことを聞かれた。  あの人からの手紙(ラブレター)は持ってない。高校に入ってから初めての、手紙のない告白だった。それに彼は、他の人とは少し違うように思えた。  だから、彼のことは、今もはっきりと覚えている。  「私、そういうのまだ分からないから」  私がそう言うと、みんな黙ってしまった。そして、スマホに目を移して何かを入力している。  私は、間違えてしまった。その反応は、不正解だったことを示している。なんて言えば正解だったんだろう。  それ(話すこと)が分からないから、この時間が苦手だった。
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