2

1/1
前へ
/17ページ
次へ

2

 翌日になると、お昼休みを伝えるチャイムが鳴っても声がかかることはなかった。  昨日間違えてしまったから、その罰らしい。  でも、私にとっては、罰になってないよって言いたい。  そんなこと、口が裂けても言えないけれど。  一人で食べるお昼は、寂しさこそあるものの気は楽だった。  いつもより、作ってもらったお弁当を味わえている気がする。  ただ、お昼を食べ終えると、周りの声が気になってしまう。  きっと私に関係ない話をしているはずなのに、その声が私を揶揄(やゆ)しているように感じられてしまう。そして、時々聞こえる笑い声に、バカにされてるんじゃないかって思っ(怯え)てしまう。  ただの被害妄想だ(本当はそんなこと話してない)って分かっているのに、そんな気がしてしまう。  小学校や中学校の頃のように言われているんじゃないかって(勘ぐ)ってしまう。  だんだんとこの教室(あの子たちと一緒)にいるのが辛くなる。  だから、かばんの中から、巾着(お守り)を取り出して、それを抱えて教室を出て、一階の階段裏(独りになれる場所)に向かった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加