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「え〜本日はお集まり頂きありがとうございます」 硬い表情のまま首相が挨拶をする。 気のせいか少しやつれている気がした。 「時間もないので手短にお伝えさせて頂きます」 なんだ?堂々と不倫を認めるのか? それとも離婚発表か? 野次馬魂から生まれた思想に操られて テレビにかぶりつくように視線を向ける。 「えー‥‥そのー‥‥」 だが首相は次に発する言葉を だいぶ渋っているようだった。 歯切れの悪い態度に 内心いらついたが その感情は俺だけではなかったようで 会見の場にいる記者1人が 「アッヴン‥‥ヴン!!」と わざとらしく人にプレッシャーをかける 咳払いをしている。 その咳払いは首相にも聴こえていたようで しかめっ面になって 機嫌の悪さが顔に出た。 と同時に呑み込んでいた言葉を 口にする覚悟が固まったのか 「フー‥‥」と静か息を吐いて 「皆様にはこれから1週間」 「その場から外に出ることを禁じます」 「今、外に出ている方は速やかに近くの建物に入ってください」 「これは努力義務ではありません。」 「強制命令です。」
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