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次々と発される首相からの
言葉に理解が追いつかないのか
先程まで静かだった会見場が
フェス会場のように
人々の声が不協和音に飛び交う
混乱の場へと変わった。
「なぜ!急にそんなことを強制するのですか!」
「質問は会社名とお名前を頂いてからお願いします」
本来は自分の身なりを申告してから
質問をするルールを破る記者を
冷徹な助手が指摘したが
こんな混乱の場では
秩序もルールも通用しないだろうと思った。
なんせ今いる建物から一歩も
外に出るなというのだから。
「丸藤くん、大丈夫、答えるから」
首相は質問をブロックした先程の助手に
そう声をかけ
記者からの問いに口を開いた。
「えー‥‥信じ難いかもしれませんが
今、日本には未知のアレルギーが
発見されました。」
未知のアレルギー‥‥?
「そのアレルギーは動物はおろか
人間にも悪影響を与えている働きが
あることを確認しています」
よりざわつく場に
記者の1人が声を上げた。
「でもそのアレルギーって普通のと何が違うんですか?未知のやつでも気をつけて生活をしていれば何も害は無いのでは?」
質問を受けた首相は
心なしか呆れた表情をしながら
「“普通“が通用しないからお願いしているんです」
その一言を強く言い切り
「このアレルギーは世紀末になりかねません。」
「なぜならアレルギーの発症条件は」
「A型とO型の人達が1メートル圏内に近づいたときに発症します」
「すなわち今回のアレルギー対象は
A型とO型の血液を持っている人だけです」
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