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俊は顔をあげて声の方を見た。同い年ぐらいに見えるものの、俊には見覚えのない人物で、感じからして直央斗の知り合いのようだった。身長は直央斗より高く顔を体格も違うのだが、不思議とどこか直央斗に似た雰囲気を感じる。
直央斗:「ああ、綾人。さっきはゴメンね…伊藤くんたちの方はどう?」
綾人: 「アイツらあいかわらずわけわかんねぇぞ。来夢がなんか今度はマンガ家んなるとか言ってて、今みんなで笑ってたとこ」
直央斗:「そっか。上手く合流できたならよかった」
綾人:「お前は来ないの?」
直央斗:「ああ、うん。僕は彼と、小学校の時の友達と一緒に出るから」
俊:「どもっ。王って言います。小学校ん時、コイツと近所で」
綾人:「ああ、初めまして。相原です」
俊:「ああ、どもっす………?」
あれ?………アイハラ?アヤト? その名前、なんか、どっかで………
綾人:「そういうことなら、いいや。じゃあ俺は向こう戻るわ。帰り合流してアイツらと帰ろうぜ」
直央斗:「ああ、いや、僕は彼と帰るよ。綾人と違って伊藤くんたちとはそんな仲良くなかったし、気使っちゃいそうだから」
綾人:「ああ…そうか。だったらしょうがねぇな。まぁ、成人式終わったら後で話そうな」
直央斗:「うん。また後で」
思い出した!!相原綾人!って確かコイツと一緒に学校の屋上から飛び降りて自殺しようとしたっていう………コイツの………
直央斗:「どした?あ、始まるみたいだよ」
俊:「お、おう……」
コイツの……親友……
舞台の方を向いている直央斗は、俊が彼の顔を見つめていることなど気づいていないようだった。音楽が鳴り始め、大きな拍手が起こり、成人式が始まった。
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