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直央斗:「帰…る?」
俊:「帰…れる?」
直央斗:「それな」
そして無言になる二人。はかなくも豪雨の中、鉄橋の上を電車が通過する。
するといきなり俊が立ち上がり、コートやらジャケットを脱いでその場にたたむと、スクワットをやり始めた。
直央斗:「え、何してんの?」
俊:「筋トレ。暇だし。こういうのならここでもできるから」
直央斗:「………」
俊:「暇なら、お前もやるか?」
直央斗:「遠慮しとく」
俊:「あ、なら、シットアップやりたいから次、足持ってくんね?」
直央斗:「え?あ、うん………いいけど」
そう言うと俊は高架下のコンクリートの歩道の上に寝そべり、腕で頭の後ろに持っていき、上体起こしのトレーニングを始めた。「な、なんでこんなことになってるんだろう」と思いつつも直央斗も俊の足を固定して彼のトレーニングを手伝う。
俊:「ちゃんと持ってろよ」
直央斗:「はあ?ちゃんと持ってます」
俊:「よし、いくぞ………」
そう言って「フンッ、フンッ」と少し粗く息をしながら上半身を起こす運動を始めた。
直央斗:「………俊」
俊:「んっ!…あ?んっ!……何?」
直央斗:「なんかお互い空回りしてるから、もうやめようか」
俊:「んっ!…あ?んっ!…何が?」
直央斗:「………綾人とのこと、聞きたいなら聞いてくれていいよ」
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