石たち

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 そして話し合いは決別、私は自分の部屋が無いのであれば婚約は破棄すると言い放ち婚姻届け提出前日にして離別の危機が迫った。  結果、旦那が渋々折れ、プラモの箱は自室とコンテナ倉庫に置くことにしてくれたので危機は回避されたのである。  ではなぜ私が自室をこんなにも欲したのか、それには当然理由が有る。  私は太郎を拾った日から無性に石が集めたくなりコツコツと気に入った石を実家の2階にある自室に運び入れた。  月日が流れ妹が中学入学の時に事件が起きた。それは家の前で集合写真を撮ると家が傾いていたのである。  父母妹は原因究明という名目で2階にある私の部屋に鍵を壊して押し入って来た。そして室内を見て皆一様に腰を抜かしてしまう。  私の部屋はいつしか石たちで満たされていて3トン近くの重量になっていたのである。そして家が傾いた原因は何の根拠も無く確実に石たちであると結論付けされ激怒された。    こうして太郎以外の全ての石たちは外に出されてしまったのである。  私はそんな石たちに対して雨ざらしにしてしまった事への罪悪感がぬぐえずにいた。なのでどうしても屋根のある室内に置きたかったのだ。  そして旦那との交渉が成立した今、私は晴れて石たちと一緒に暮らせる環境を手に入れたのである。
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