瓦解

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瓦解

 引っ越した後の数日、私は石たちの配置をどのようにするかを考えていた。  壁際に石垣のように積んだり、フローリングの上に石畳みのように敷き詰めたり色々試したが、高く積むのが一番見栄えが良いと結論付けた。    床に寝て初めてその景色が見えてくるように石たちをうず高く天井に着くほどに積んでそれを1ユニットとし部屋中にランダムに配置したのだ。それはまるで海底から隆起したチムニー群のようにである。  そして私の生活空間は畳一畳ほどしかなくなってしまったが、それはそれで致し方ない。起きて半畳寝て一畳と言うことわざがあるようにまさに今の私の部屋はその状態なのである。  石の配置を終えたその日、私は何かをやり遂げた気分になり旦那の夕御飯を作ることなく寝てしまっていた。そして目を開いたら21時を過ぎていた。
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