瓦解

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 寝ぼけながら目を擦り腰を上げようとしたその時である。 「え、今揺れた……」  私の頭上でチムニーがワカメのように揺れている。これはかなり大きな地震が来そうな予感がした。  そしてドカンと縦に揺れた。 「キャーッ!!」  私は床に体を大の字にして固定し揺れに対処した。しかしそれが裏目に出てしまった。石たちが私の頭上に落ちて来るのがスローモーションで見えたのである。  ああ、これは確実に死んだわね、短い人生だったわ  などと感慨に(ふけ)っていると何か白い影が私の上に覆い被さった。 「あ」 「ウッ! グッ! ゲッ!──大丈夫?」  旦那である。 「いや、あなたの方がヤバいっしょ!!」 「ナイス突っ込み」  この人とは今まで一言も喋った事が無かったので初めて地声を聞いた。とても優しい声である。  
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