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学校を終え、連絡していた二人と会うために図書館へと向かう。昨日今日のできごとをどうしても、これから会う二人に相談したかったので、つい向かう足も早くなる。
「望桃ぉ~~!!」
「あら……早かったわね」
「どうしても相談したくて、急いで来ちゃった!」
「そう。まぁ、少し息を整えて?」
図書館の中に入ると、すぐに見知った姿を見つけた私は安堵と共に胸を撫で下ろすと駆け寄った。
入口近くの休憩スペースで本を読んでいた女の子は私に気付くと静かに本を閉じると向かいの席へと座るように促す。
彼女は灰塚望桃。私と同い年の幼なじみだ。
実家は祓い屋さんをしており、日夜依頼を受けては、この大津町周辺で起こる怪奇怪異現象の解決に導いている。
ちなみに、料金は結構お高いそうだ。
「あれ?賢治くんは?」
「賢治は別件よ。警察に呼び出されてるわ」
「あぁ……。捕まっちゃったのね……」
「えぇ……。陣内警部の“捜査協力”のためにね。今、町で起こっている事件にどうしても彼の“チカラ”が必要みたい」
「〈 大林賢治は視えている 〉からねー」
「えぇ。彼って、人にも霊にも人気者なの。妬けちゃうわね」
私だって彼を独占したいのよ?と望桃は少し不満げに呟くと、閉じた本を鞄にしまった。
表紙に『賢治とやりたいことリスト』と書いてあった……。ダメ、すごく気になる……。
言わずもがな、目の前の灰塚望桃は大林賢治に友人以上の感情を感じている。
初めは憧れだったが、今では確かな想いとして膨らんでいる。
その想いがいつか彼に届く日を友人として願っているが、その道のりは険しい。
彼の周りにはとにかく人が集まるのだ。
彼の心からの優しさと温かさは、多くの人を惹き付けるのだろう。
「かく言う私も、彼についつい頼ってしまってるんだよねー」
「分かるわ。寝ても覚めても、思い浮かぶのは賢治の素敵な笑顔よね」
「いや、それは望桃だけだから……」
ホッと胸に手を当て頬を染める望桃に、苦笑を浮かべて手を振ると話を戻す。賢治くんの話もいいが、こちらの話も聞いてもらうとしよう。
「賢治くんにも相談したかった話なんだけどねー、最近、私の周りでおかしなことがよく起こるんだよね」
「おかしなこと?私たちに相談ということは、それは〈 霊 〉に関することかしら」
「うん。昨日と今日もね……」
そうして、昨日今日と起きたことをなるべく事細かに説明していく。話を聞いていた望桃は、しばらく目を閉じると考えるように黙り込んでしまった。
二人の間に沈黙が落ちる……。
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