問1

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時刻は月も昇りすっかりと夜になった頃。昼間の疲れを癒しに浮き足立つ社会人たちが飲み屋の立ち並ぶ大津中央駅前の通りへとなだれ込む。 その一つに一際賑わう店があった。チェーン店のためか、看板の信頼に期待を寄せて多くの客が訪れるのだろう。 そんな客が溢れるほど忙しい店内を駆け回り、次々とオーダーと配膳、片付けをこなしていく女の子がいた。 「オーダー。ハイボール2、お湯割り1、ピッチャー、二卓よろー。10卓さげたら、4名様お通ししてー。店長ー、1卓の〆の雑炊出していいか聞いてきてー」 「はい、よろこんでー」 「あいよー」 彼女はこの店のバイトである。だが、その動きは目を見張るものがあり、合間合間で出させれる指示も的確なものだった。この子を中心に店が回っている。そう誰もが思うほどに、彼女の存在は大きいものだった。 それは従業員だけではなく、客にもちゃんと伝わっていて、この集客へと繋がっているのだろうことは疑いようないこと。看板以上の信頼を寄せられ、今日も彼女の気持ちの良い接客を目当てに沢山の客が訪れる。 彼女の名は…… 「アザミちゃん!10卓お通しおねがい!」 「はーい!」 真木 生明(まき あざみ)。私立高校に通う高校二年生だ。
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