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思い立った吉日と、私、真木生明はその日のうちに件の友人たちへ電話をかける。
早々に風呂と食事を済ませてベッドに入った。
外ではまだ、タタタッ……!と夜闇の中で軽快な足音が響いている。自分は見失ってしまったはず。ならばと、また着いて行けそうな相手を探しているのだろうか。
声も聞けず、姿も見えず、触れることもできない相手に着いて行った先で、“ソレ”は何をするのだろうと考える。
そんな相手に何ができるのだろうとも。
「はぁ……分かんないもんは分かんないか。もう寝よ」
いくら考えても出ない問題から目を逸らすように、布団を深く被ると目を閉じる。
ベッド傍らに感じる気配におやすみを告げた。
ぽんぽんぽん……。
布団越しに、身体を撫でる感触がする。
その子供を寝かしつける母のように、その感触は優しく穏やかなものだった。
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