9 公爵令嬢と王族の嫁

1/1
前へ
/57ページ
次へ

9 公爵令嬢と王族の嫁

 「うん。物理的に距離ができたらヒロインちゃんと王子の仲がグイグイ進むんじゃないかな~・・・ と、何よその顔」  ソファーの背もたれから振り返るようにして此方を見ているレイは、困ったように眉尻を下げてる? なんで? ハッ!? まさか断罪されて欲しいなんて言わないわよね?  断罪されたら私1人北の修道院送りになるのよ? 冗談じゃないわ。  それとも王子妃とか王妃になって欲しかったのかしら?   でもね~ お妃様なんて絶対にゴメンだわよ。  王妃の執務は国内の視察、慈善活動に国内社交に国外社交そして王宮の内政管理。  しかも妊娠出産が義務で婚姻後3年間子供に恵まれなかったら、国王に側妃か愛妾が来る事を認めなくちゃいけないって・・・  どんだけ仕事忙しいと思ってんの?   子供産む暇無いじゃん。しかも生まれなかったら愛人も認めろ?   馬鹿言ってんじゃないわよッ!  女舐めんじゃねーッ! て、講師の話を初めて聞いた時に羽根ペンへし折ったわ。  マジ社畜。  しかも女性の尊厳を踏み躙られても我慢って。あぁ゙?!  なにソレ?! しかも王妃も王子妃も年間予算が決まってるとはいえ、それ以外は残業代も代休も出ない仕事なんか出来ないわよ!  ・・・福利厚生って言葉がない世界って恐ろしいってホントに思ったわ。  王妃になるのが貴族女性の憧れって、どうかしてると思うわよッ!  頭沸いてんじゃないの?  こんなブラック企業並みの恐ろしい立場に自分が・・・? 絶対に嫌~~~~~!  ヒロインに王子をガッツリ攻略してもらって、バッチリ婚約は白紙撤回して、将来的には公爵領のマナーハウスで女公爵になって悠々自適な暮らしをするんだから!  その為に公爵領のインフラをお父様の尻を叩いて整えてもらって国内で唯一、領民に週2日の公休と、年休、代休、産休制度を取り入れたわ。  休んで疲れが取れたら人間って効率よく仕事も出来るし、精神的な余裕も生まれるから領都は経済効果が上がって、商人がより新しいものや良い商品を仕入れるようになった。  地方ではそれを目当てに休みになったら家族揃って領都へ遊びに行くっていう風潮が出来上がったらしくて益々経済的に豊かになった。  公爵領はお陰様で国内外から経済効率化のモデルケースとしての視察の申し入れが後を絶たないらしい。  コレばっかは前世からの知識の応用だったけど王子妃教育の賜物だと誤魔化せたのでまあ、結果オーライだと思うっ・・・ て、ソレは兎も角。  その公爵領に穏便に私が引っ込むには王子との婚約をなんとかしなきゃいけないわけよ。  で、ヒロイン様に王子を攻略してもらって逃げ切ろうと考えた訳だ。  もう、あるものは何でも利用しちゃって良いよね? の精神で行っちゃうわよ。  だって、王族の嫁の責務なんて端から冷静に観たらアタオカだよ?  ヒロイン、Heyカモーン!!  熱烈歓迎しますわよ?
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

185人が本棚に入れています
本棚に追加