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4,戦闘デートの行方
美百合たちは、最上階でエレベーターをおりた。
「ここから順番に一掃していく」
敵が何人いるかもわからないのに、龍一はこともなげに言った。
まあ龍一なら、言った限りはやりきるだろうから、きっと一掃してしまうのだろう。
最上階は飲食店街だ。
お昼をすぎて夕食には早い時間だからか、ほとんどの店が休店している。
ありがたいことに人の気配は少なかった。
龍一の背中に張り付くようにして、フロアをひと回りする。
途中何度か人とすれ違ったが、龍一は何もしなかった。
美百合には区別がつかないが、普通のお客さんなのか。
エレベーターでもエスカレーターでもなく、階段を使って下におりた。
階段にはますます人がいない。
デパートに流れるBGMが遠くから聞こえてくる。
誰もいない階段にカツンカツンと龍一とふたりの足音だけが響いている。
なんだか違う世界に迷い込んでしまったみたいで不安になってきた。
思わず、前を歩く龍一のスーツの背中を指先で掴んだら、龍一はちょっと足を止めて振り返ってくれた。
「大丈夫だ。ここで鉢合わせするヤツは全員敵だと思えばいい」
全然、大丈夫な話じゃない。
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