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女性ものの下着を好きだとか嫌いだとか、個人の好みを語るのは自由だ。
だがそれは、ぜひプライベート空間に限定してもらいたい。
こんな場所で口にするなんて、文字通り、残念なイケメンになってしまう。
もうこうなったら、手段を選ばず龍一を移動させる必要がある。
美百合愛用のワーヤーロープで縛り上げて、引きずっていってやろうと懐から引っ張りだしていると、
ーーその手をふっと押さえられた。
『バレた!』
ギクリと身をすくませる美百合に、龍一はどこか楽しそうに言った。
「こんな場所で緊縛プレイを持ちかけるな。変態だと思われる」
『どっちがよ!』
怒りと恥ずかしさで暴れる美百合を、龍一はフィッティングルームに押し込んだ。
「お客さま。サイズをお計りしましょうか?」
声をかけてくる店員に最高の笑みを浮かべて応える。
「ああ頼む。妻は病気で、ようやく起きられるようになったところなんだ。アンダーウェアと、他にもゆっくり休めるナイトウェアも一緒に見繕ってほしい」
美百合にはそんな重症だった記憶はないが、
「恰好よくてお優しい旦那さまですね」
と店員に褒められれば悪い気はしない。
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