4,戦闘デートの行方

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頬を緩ませてうなずく美百合の耳元に顔を寄せて、龍一は甘い声でささやいた。 「ここならフロア中の視線が防犯ブザーの代わりになる。来させるつもりはないが、万が一襲われたら、その店員を盾にしろ」 この人は、なんでこんな最高のイケメン顔で、こんな非情極まりないことを言ってのけられるのだろう。 もちろん、なんの罪もない店員さんを盾にするつもりなんかない美百合は、 『なんかあったら私が守るわよ』 の意思を込めて龍一を睨みあげた。 通じたのか通じてないのか、龍一は満足そうにうなずいてフィッティングルームから出ていった。 「お客さま、まず上を全部脱いでいただいて、準備ができましたらお呼びくださいますか」 そう言って傍を離れようとする店員の腕をそっと掴む。 近くにいてくれないと、敵が来ても守れない。 「お客さま?」 怪訝に首を傾げる店員に、美百合は、 「えっと、ひどい声で聞き取りにくいと思うんだけど、ちょっと聞いてくれる」 ガラガラ声をがんばって出して、時間稼ぎをすることにした。
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