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考えても他に方法が思いつかなかったのだ。
美百合は今、いつどこから襲ってくるかわからない敵から身を隠している。
相手は銃を持っているようなヤツだ。
店員や他のお客さんが流れ弾に当たってしまう危険だってある。
だけど、龍一がここで待てと言ったからには待たなくてはならない。
ならば、この店から離れられない店員のすべてを、美百合が守るしかないではないか。
店員たちにそれぞれ下着を持たせて、フィッティングルームの前に並ばせた。
久しぶりに出した声も、ガラガラで醜いが、いまの傲岸不遜な美百合の態度には似合っていた。
「これより、ふたつ前に持ってきてくれたのがよかったわ。もう一度持ってきてちょうだい」
イヤな態度極まりない。
店員だって、横柄で最悪な客だと思っていることだろう。
美百合ですら、こんな客は真っ平ごめんだと思う。
だけど、こうするしか方法が見つけられないのだ。
そしてようやく、龍一が戻ってきた。
幸いそれまで、美百合に襲いかかってくるような敵は店舗には現れなかった。
龍一が食い止めてくれたのだろう。
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