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肩をつかんでグルグル回せば、ゴキゴキッとすごい音が鳴った。
静かなホワイエに骨の鳴る音が反響して、自分が一番びっくりしてしまった。
焦って辺りを見回すと、やはり退屈したのだろう、ホワイエに出てきていた男女が4人、そろってこちらを見ていた。
4人とも大きく目を見開いてびっくり人間を見る目をしている。
まさに怪音だった。
「へへっ」
美百合は思わず愛想笑いを浮かべていた。
困ると笑ってごまかそうとするのは、日本人のどうしようもない性だと思う。
さすがに気まずいので、軽い会釈をしてトイレにでも行こうとすると、
「美百合、どこだ」
龍一の声が聞こえてきた。
振り返れば、やはり、タキシードの裾をひるがえして駆けてくる美しい人がいた。
龍一は必死な顔をしている。
ホワイエを見まわし、美百合の姿を見つけると、探す勢いのまま走り寄ってきた。
ホールのドアから漏れ聞こえる曲が、ちょうどいい感じの盛り上がりを迎えていて、まるで音楽に乗って登場する映画のヒーローみたいだった。
「化粧室を探してもいなかったから焦ったぞ」
女子トイレに侵入しても、龍一はきっと格好いいままだろう。
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