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龍一の素直な笑顔に、美百合の胸がキュンと高鳴ってしまう。
本当に龍一の顔に美百合は弱い。
腹をたてていた気持ちもどこかに飛んでいってしまった。
頬を染めて目を逸らす美百合に、龍一はふわりと頬を寄せてくる。
美百合の耳のすぐ側で格別に甘い声で、
「俺とはしゃべってくれないのに、店員とは話すんだとムカついていたんだ。あいつら全員の個人情報を操作して、社会的に抹殺してやろうかと思ったくらいだ」
とんでもないことを言った。
キュンとした気持ちも、またどこかへ吹っ飛んでしまった。
「……私がしゃべらなかったのは、龍一にみっともない声を聞かせたくなかっただけだよ」
美百合がそう言うと、龍一はわかっているとうなずき、
「それでも寂しかったんだ」
と囁いた。
美百合は恐る恐る続ける。
「お店の皆さんにものすごくわがままを言ったの。それでもみんな良くしてくれたわ」
「支配人に言っておこう。全員冬のボーナスUpだ」
「このお店の物も、たくさん買うって約束したの」
「後で店ごと買い取っておこう」
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