5,エピローグ

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それに龍一が電話した先は、警視庁でも警察署でもなく警察庁。 ここが扱う事件は、国家を揺るがしかねないテロ事案ばかりだ。 テロ組織が絡んでいるような相手や、または戦争をしかけてきそうな国が相手だと、警察や日本の法律ではどうしょうもない。 捕まえたとしても、そいつは末端の下っ端。 トカゲの尻尾切りで終わってしまう。 龍一が関わるのはいつだって、1人を殺せば殺人だけど、千人殺せば英雄と呼ばれるモノと同じレベルの事案ばかりだ。 住んでいる国という立場が変われば、龍一の方が絶対悪として位置づけられる。 ところが、 「あいつらはプロじゃなかった」 龍一は呟いた。 「本当に今回は心当たりがない」 と顎に触れながら、考える仕草をした。 「龍一が忘れてるだけじゃないの?」 美百合が無邪気に聞けば、龍一は思いっきり眉をしかめて、イヤーな顔をした。 「俺が忘れる程度の相手に、銃を突き付けられたというのか」 「龍一でもそういうことぐらいあるわよ」 一回口をきいてしまえば、ストッパーが外れたようにしゃべってしまう。 美百合はもともとおしゃべりなタイプなので、軽口もするっと出てくる。
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