5,エピローグ

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龍一は余計なことを言ったと横を向いてしまった。 「ちょっと龍一ってば、一体どういうことよ」 許さないと詰め寄る美百合に、龍一はまいったとホールドアップした。 「考えていることを素直に伝えられるのは美百合の美点だ。美百合のそんな透明さが、時にまぶしくてたまらない」 龍一は目を細めながら言った。 「だから俺みたいな人間は目を逸らしてしまうこともあるんだ。美百合が原因じゃない。俺自身の問題だ」 龍一は美百合の腰を抱いて引き寄せた。 「感情を隠さず表現できるのは、美百合の心の強さのせいだな」 言っていることはよくわからないが、龍一が見つめてくる眼差しは真剣だ。 もしかして、褒められているのだろうか。 もとより、龍一の整った顔に弱い美百合は、あっという間に至近距離に耐えられなくなった。 頬を染めて横を向く。 「……もういいよ」 「美百合が心で泣きながら、店員たちを守ろうとしていたのも知ってる」 どこで見ていたのだろうか。 それとも見ていなくても、美百合のやること、考えることは、龍一には全部お見通しなのだろうか。
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