9人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………。……あ、ああ……い、いくよ……いく、ネズミくんの……お店、カフェに必ず、行くさ。……約束する、よ……」
ワシミミズクが表情を崩さないようにして微笑むと、ネズミは彼へくっついてきた。
「わ〜〜〜いッ!! ワシミミズクさんは初めてのお客さんだね!! ……この森に住んでるみんなのこと、教えて! シマフクロウさんってのも、いるんでしょ? タヌキさんにキツネさん、あと、ネズミの仲間たちにも会ってみたいな! ぼくもさ……おとーさんやおかーさんみたいに、カフェやったらさ、何かの、みんなの役に立てると思うんだ!!」
「…………うん、うん、わかった……わかったよぅ、ネズミくん……」
私はうなずき、長年住んでいる樹洞の出入り口から横へ動いた。
すると、夜空の月が見える。
「……あ、月が出てる!! ……そーいえばさ、ワシミミズクさんはどうして……ぼくをここへ連れてきてくれたの?」
小さな瞳のネズミに聞かれた大きな瞳を持つワシミミズクは「……ん、うん……この……この、綺麗な月をネズミくんにも見せたかったから……かなぁ……」と答えた。
「……そっか〜〜。ぼくの住んでるところからはこんなによく見えないもんな〜〜。高いところから見ると、いろんなことがわかるんだね。……ありがとう〜〜」と、ネズミ。
「…………あとで、君をお家まで送ってあげるよ」
涙に湿った瞳でワシミミズクは返し、一羽と一匹は月を見つめた。
闇を照らす月は彼らを見つめ返していた。
最初のコメントを投稿しよう!