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ずうっといっしょ
「遥、いい子で待ってるんだよ?最後の後片付けをしてくるから。」
今日は朝から鬱々とした雨が降り続いていた。
窓の外から見える景色はずっと灰色の歪んだ世界で、そんな鉛の空をぼーっと眺めながらも、浅い呼吸を繰り返す。
もう何日、この部屋から出ていないのだろう。
分からない。それくらい感覚が麻痺していた。
あたしのスマホは一体何日眠り続けていて、全く連絡の取れないでいるあたしのことを心配してくれている人は果たして何人いるのだろうか。
分からない。そんなことを考えたくせに、知りたくは無かった。
希望は、毒だ。
それを持つだけであたしを苦しめ、蝕み、結局最後は絶望させるだけの猛毒にしかなり得ない。
それを何日も前に嫌というほど学んだ。
ひとり静かなこの部屋で、もうすぐに帰ってくるであろうあの人の事を待つことしか、今のあたしに出来ることなんてなかった。
ザァーザァーと降り続く雨音だけが、あたしのザラついた心を包み込んでくれている気がした。
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