ずうっといっしょ

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「あのね?明希くんよりも大好きって、そう思える人に初めて出会えたの。自分のお兄ちゃんと比べる事自体がそもそも間違ってるって分かってるんだけど、あたしの中で明希くんってそれくらい大きな存在で、大大大好きなお兄ちゃんなの!」 明希くんはいつも、あたしが言うことを基本的に肯定してくれるから、今日だって「よかったね。」て、「おめでとう」って、きっと一緒に喜んでくれるってそう思ってた。 なのに、 「ははっ、そっかあ。遥にもついに、俺よりも大好きだって思える彼氏が出来ちゃったのかあ…。」 相変わらずとても綺麗な表情で笑ってる、だけど、どうしてだろう。胸の奥がとってもざわついた。 「う、うん…。もちろん、明希くんのことも変わらず大好きだよ?ずっとずっと、この気持ちは永遠に変わらない。」 もしかして、妹のそういう話は好きじゃ無かった?明希くんもあたしに負けず劣らず、いや、それ以上にシスコンだからすぐには受け入れてもらえないのかもしれないって、そう思って、本心ではあるけど、少しフォローするように言葉を紡いだ。 「…ずっと、永遠に?うーん、嬉しいけど、本当は全然嬉しくないんだよなあ。ねえ、遥。どうしてだか、分かる?」 大きな黒目がちな瞳がジッと、あたしのことを見据えて、表情筋は仕事をして、綺麗に明希くんの顔を彩っているのに、その瞳に映る感情だけは、何色でもない、無色だった。
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