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「ああ、形式上はね?でも、血なんて一滴たりとも繋がってないし、俺にとって遥はずっと世界でたった1人の愛しい人だったよ。いつか、こんな日が来るってそう思って準備してたんだ。やっとこうして遥を俺のものにできるんだと思うとちょっと泣きそうだよ。」
そう言って、全然泣きそうに見えない表情で、喋りながら再度あたしへと馬乗りの状態になった。
明希くんの長いまつ毛が、表情に影を落とす。
口を開いて明希くんへと言葉を返そうとしたそこに指先が突っ込まれる。
「っんあ、、っ、んっ、はあっ、んんっ!!」
明希くんの骨ばった指先があたしの舌を捉えて、くちゅくちゅとその感触を確かめるように動いた。
何が起こっているのか、理解し難い状況に頭が考えることを放棄しようと、これは夢だと訴えかけてくる。
そうであってほしいと、あたしの口内を指で弄ぶ明希くんの愉しげな表情を見ながらも願った。
でも、そんなことを願っている時点で、これは現実なんだって、思い知らされた。
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