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第12話 魔王の影、幼馴染の試練
アレクシアはブラッドレイのただならぬ気配に
直感的な危険を感じ取り
周囲の兵士たちに声を張り上げた。
「全員、ここから離れて!」
その叫びに兵士たちは一瞬戸惑ったが
彼女の真剣な表情を
見て次第に撤退を始めた。
ブラッドレイの笑みがゆがんで
冷たく光る眼差しが
アレクシアに固定された。
「それでいい
女勇者アレクシア
この戦いは貴様と僕だけのものだ」
アレクシアは兵士たちの撤退を確認して
剣を構えた。
「確か
魔王の四天王の一人
ブラッドレイだったわね」
ブラッドレイは微笑みを深め
「いかにも……
知っていたとは光栄だよ」
と言った。
「国王を連れ去ったのはあなたね?」
とアレクシアが問いただすと
ブラッドレイは肩をすくめて答えた。
「依頼されたのさ
もう一人
魔王様に古い友人がいてね
彼が犯人だよ」
アレクシアは剣を握りしめ
「魔王の古い友人ですって!?」
と叫んだ。
ブラッドレイは
「魔王様の古き友の名は
カオス・ヴァルディアス
魔王と同じ時代を生き抜いた
伝説の魔導士だよ」
ブラッドレイは言葉に冷たい嘲笑を乗せて続けた。
アレクシアは
「そ、そんな……」
更なる強敵の存在に動揺した。
「カオスは強大な魔力を持ち
影から我々の動きを操る存在さ
貴様が挑むには少々手ごわい相手だろうね」
「くっ!」
アレクシアはカオスという強敵に
焦りの表情を隠せなかった。
それを見て
ブラッドレイは冷笑しながら
「流石に驚いているようだね
彼も人間界にとっては十分な脅威だからね」
と言った。
アレクシアは焦りと恐怖を露わにし
「どうやら
ここでなんとしてでも
あなたを倒さねばならなくなった」
と言った。
ブラッドレイは余裕の笑みを浮かべ
「その心、歓迎するよ」
と答えた。
「いくぞ!」
アレクシアはブラッドレイに
向かって突進した。
しかし
ブラッドレイの剣の技術は非常に高く
彼はアレクシアの攻撃に対して冷静に対応し
軽々と受け流した。
アレクシアは必死に攻撃を繰り返したが
ブラッドレイはまるで余裕の表情を崩さず
彼女の全ての動きを読み取るかのように
対応してきた。
ブラッドレイの剣はまるで風のように軽やかで
アレクシアの一撃一撃をすべてかわし
時には逆に反撃を仕掛けてくる。
アレクシアは防戦一方に追い込まれ
次第に疲労が体を蝕んでいくのを感じた。
「どうした?
勇者アレクシア
力も速さもなく
まるで赤子のようだぞ?」
ブラッドレイは挑発するように言い放ちながら
その冷たい眼差しを彼女に向け続けた。
アレクシアは歯を食いしばり
何度も心の中で自分を奮い立たせるが
ブラッドレイの技量と圧倒的な力の前に
思うように攻撃を通すことができなかった。
「……こんなところで負けるわけにはいかない!」
アレクシアは声を上げ
自らを鼓舞するように再び剣を振るった。
しかし
その剣は再びブラッドレイに簡単に受け流され
アレクシアの体は重く
動きが鈍くなっていることを痛感した。
その瞬間
ブラッドレイの剣が鋭く振るわれ
アレクシアの左肩を斬りつけた。
「ううっ!」
痛みが全身に広がり
アレクシアの表情は苦痛で歪んだ。
ブラッドレイはその様子を見て
ニヤっと笑いながら
「さてと、どうやって料理をしてやろうか」
と冷たい声で言った。
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