「記憶の断片を辿る旅」

～記憶を失くした男～

ホットドリンクの並びを見ると、
ココアが有った。
「あいつ・・・これ好きだよなぁ・・・
あいつって誰だ？」
知らない人の好みを知る訳がないのだが
ココアとコーヒーを買う。

ココアは上着のポケットに入れ
コーヒーを開け、飲む。
何か手掛かりが無いかと、
コーヒーを飲みながら
もう一度、写真を見てみる。

二人ともＴシャツを着ている所を見ると
撮ったのは夏か？そんな事は良いんだが
女性の方をじっくり見てみる。
ショートヘアが良く似合う、少し童顔の
可愛い女性だ。成人はしているだろう。

自分好みだが、やはり、知り合いなのかも
分からない。
向かいの店舗のショーウインドーに、
自分の姿が映っている。

やはり、写真に写っている男性は自分に
間違い無いようだが
今の方は、やや老けて見える。
「そう言えば、自分は今、何歳なんだ？」
ショーウインドーに映る影は２０代後半から
３０代前半に見えるが・・・正確な年齢は
思い出せない。