~記憶を失くした男~

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『何を誰に言ってるんだ?俺は?』 自分の吐いた言葉に戸惑ってしまう。 誰も座っていない向かいの席を凝視する。 おぼろげな影が頬杖ついて 『いつも、いつも、同じことを言うぅ』 そんな声が聞こえた気がした。 モーニングセット食べ終えカフェを後にする そうだ、こっちに向かって歩けばいい・・・ 脚は自然に思った方に向いた。 途中で、くいっと腕を引かれた気がした。 本屋の前だ。 『このコミック、新刊だよ』 そんな声が聞こえた気がした。 確かに、新刊が並んでいた。 「これ、あいつが好きなコミックだな・・」 その本を買った。 おぼげだった記憶の霧が晴れていく 少しだけ、早歩きになる。 ココアとペンダントヘッドと本を持って そうだ、この道を知っている。 休みの日は、二人で並んで歩いている。 あの角を曲がれば・・・ パトカーが停まっていた。 胸騒ぎがする・・・ 彼女に何かあったんじゃないだろうな? 野次馬も少し居た それを掻き分け進む。
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