1人が本棚に入れています
本棚に追加
~記憶を失くした男~
『・・ちゃ・、・いちゃ・、にいちゃん、』
誰かに呼ばれている・・・
「うぅ・・・」
頭が、ズキズキする・・・
『にいちゃん、こんな時間に、こんな所で
寝ていたら、風邪ひくよ?』
確かに肌寒い・・・
うっすらと目を開けると、見えたのは自分の
太ももだ。
頭を上げると、ズキッと痛みが走った。
なんとか堪え、呼びかけて来ていた人の方を
見た。
中年?いや初老だろうか?男性が立っていた
「にいちゃん、平気かい?」
男性はそう話しかけてきた。
「えっ・ああ・まあ・・・」
そんな気の抜けた返事しか出来なかった。
「そうかい、なら風邪ひく前に帰りなよ?」
男性はそう言って去っていった。
辺りを見回す。見たことが、あるような
無いような、公園だ。
自分はベンチに座り、
眠り?込んでいたようだ。
「家に帰らなきゃ・・家?・・・ここは?」
慌てて、もう一度、辺りを見回す。
少しの芝生と木々、踏み固められた土の小道
ベンチが自分が座っている他に一つ
小さな公園だ。
最初のコメントを投稿しよう!