~記憶を失くした男~

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~記憶を失くした男~

『・・ちゃ・、・いちゃ・、にいちゃん、』 誰かに呼ばれている・・・ 「うぅ・・・」 頭が、ズキズキする・・・ 『にいちゃん、こんな時間に、こんな所で 寝ていたら、風邪ひくよ?』 確かに肌寒い・・・ うっすらと目を開けると、見えたのは自分の 太ももだ。 頭を上げると、ズキッと痛みが走った。 なんとか堪え、呼びかけて来ていた人の方を 見た。 中年?いや初老だろうか?男性が立っていた 「にいちゃん、平気かい?」 男性はそう話しかけてきた。 「えっ・ああ・まあ・・・」 そんな気の抜けた返事しか出来なかった。 「そうかい、なら風邪ひく前に帰りなよ?」 男性はそう言って去っていった。 辺りを見回す。見たことが、あるような 無いような、公園だ。 自分はベンチに座り、 眠り?込んでいたようだ。 「家に帰らなきゃ・・家?・・・ここは?」 慌てて、もう一度、辺りを見回す。 少しの芝生と木々、踏み固められた土の小道 ベンチが自分が座っている他に一つ 小さな公園だ。
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